もっとおいしい腎臓病食

腎臓病患者が腎臓病の食事療法をおいしく続けるコツ、低たんぱく特殊食品や減塩食品のレビューなどを発信しています。

腎臓病になったらお酒(アルコール)を飲んではいけないの?

腎臓病になったらお酒(アルコール)を飲んではいけないの?

腎臓病の食事制限では塩分、たんぱく質、カリウム、リンなど様々な制限が必要になりますが、お酒については制限が必要なのでしょうか?

私はあまりお酒は強くないのですが、会社の飲み会でお酒を飲む機会があったときや、家でもたまにアルコール度数の低いお酒を選んで飲んでいます。

結論からいうと「腎臓病患者の飲酒は適量であれば問題ありません」。

今回は腎臓病患者の私が適量であれば飲酒をしても問題ないと思った理由を紹介します。

腎臓病患者でも適量の飲酒は問題ない

食塩やたんぱく質制限をしている腎臓病患者でも適量の飲酒であれば、問題ないという意見が多いようです。

以前、記事の中でも紹介した椎貝達夫先生の「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」の中でも、腎臓病患者の飲酒についての記載がありましたので紹介させていただきます。

>> 椎貝達夫先生の「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」を読みました

「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」の中には腎臓病患者の飲酒について以下のように記載されていました。

Q.お酒を飲む機会が多い人はどうしたら良い?
A.適量なら良いでしょう
お酒については、誤解されている方が多いです。”病気になったら禁酒”と思い込んで、医師に質問すらしない患者さんもいます。アルコール性肺炎はあってもアルコール性腎炎がないように、アルコールは腎臓にあまり悪影響を及ぼしません。
CKDは、家庭血圧測定や食事制限など、やらなければならないことが多いですから、何かしら解放された場所をつくっておかなければ、息が詰まってしまいます。

●お酒はほどほどがいちばん
だからといって、浴びるように飲むのはNGです。いわゆる適量(アルコール換算で20g)が良いでしょう。アルコールは血圧を一時的に下げますが、飲酒している人は血圧が少し高めになります。体質にもよりますが、この働きはさほど強くありませんので、高血圧予防のために飲酒を控える必要はありません。

●お酒で顔が赤くなる人は、さらに少量に
アルコールでいちばん問題になるのは、発がん性です。先に述べた「適量」とは、発がんを防げる量なのです。
お酒で赤くなるという人は、アルコールの分解能力が高くない人です。日本人の40%が、この体質に該当すると考えられています。こういった人たちは、お酒を適量よりももっと控える必要があります。

慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法 P170

アルコール自体は腎臓にはあまり悪影響がないため、発がん性の基準となるアルコール20g未満であれば、飲んでも問題ないということですね。

また、お酒にもたんぱく質は含まれていますが、お酒に含まれるたんぱく質は、非常にわずかな量なので、大量飲酒にならなければ問題はないそうです。

ビールに含まれるプリン体も、同様に微量なので、あまり気にする必要はないとのことでした。

ビールは100g中(約100ml)、アルコールは3.7gですが、たんぱく質は0.3gです。

適量(アルコール20g)に相当する酒量

参考までに適量の基準となるアルコール20gに相当する酒量は以下の通りです。

お酒の種類 アルコール20gに相当する酒量
ビール ロング缶1本(500ml)
日本酒 1合(180ml)
ウイスキー ダブル1杯(60ml)
焼酎(25度) グラス1/2杯(100ml)
ワイン グラス2杯弱(200ml)
チューハイ(7%) 缶1本(350ml)

アルコール20gの正確な酒量はアルコール度数によっても変わります。詳細なアルコール量の計算式などはサントリーの公式サイトに記載してありましたので参考にしてください。

>> 外部サイトへ移動(適量ってどのくらい? | サントリー公式サイト)

お酒に含まれる栄養素

色々なお酒に含まれるエネルギー、たんぱく質、カリウム、リンなどの各栄養素についても調べてみました。

100gあたりの栄養素

お酒の種類 エネルギー たんぱく質 カリウム リン
焼酎 206kcal 0g 0g 0g
ウイスキー 237kcal 0g 1mg 0g
ウォッカ 240kcal 0g 0g 0g
ビール 40kcal 0.3g 34mg 15mg
日本酒 109kcal 0.4g 5mg 7mg
赤ワイン 73kcal 0.2g 110mg 13mg
白ワイン 73kcal 0.1g 60mg 12mg
梅酒 156kcal 0.1g 39mg 3mg

焼酎、ウイスキー、ウォッカなどの蒸留酒についてはほぼエネルギーのみで、たんぱく質などは含まれていませんでした。

対して、ビールや日本酒などの醸造酒には微量のたんぱく質やカリウム、リンが含まれています。適量であれば問題はなさそうですが、飲みすぎには注意が必要ですね。

特にワインはブドウなどを原材料としているため、カリウムが他のお酒に比べて高くなっています。  

アルコールはたんぱく尿を減少させるという意見も

一方で、腎臓病患者の適量のアルコール摂取はたんぱく尿を減少させるという報告もあるようです。

以前、記事でも紹介した「CKDの最新食事療法のなぜに答える【実践編】」の中にも、腎臓病患者の飲酒についての記載がありました。

>> CKDの最新食事療法のなぜに答える【実践編】を読みました

「CKDの最新食事療法のなぜに答える【実践編】」の中では腎臓病患者の飲酒については以下のように記載されています。

Q.CKD患者は、アルコールを飲んでもよいのでしょうか?とくに透析患者ではどうでしょうか?どのくらいの量なら許されるのでしょうか?禁酒をしたほうがよい患者は、どのような人でしょうか?

厚生労働省が平成12年に、21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」の中で、アルコールについて、現状と目標・対策を定めている。そこには、通常の代謝能を有する日本人においては「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで約20g程度としている。また、飲酒の許容は「おもな酒類の換算の目安」の飲酒量で、肺疾患や膵炎などの合併症がないこと、糖尿病患者で高血糖やアルコール代謝能が低い人なども注意が必要とされている。
保存期患者では、「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013」でも少量から中等量は予防的に作用する可能性があり、中等量以上は蛋白尿を発症させる可能性があるとしているので、「節度ある適度飲酒」(健康日本21)であれば飲酒は可能とされている
透析患者では、水分制限の範囲内での飲酒とする。アルコールの種類やつまみによっては、リン、カリウム値を上げる原因にもなる。また食欲増進作用もあり、透析患者の飲酒は、節度ある適度な飲酒とともに、患者の背景(合併症、服薬など)、体重管理、食塩摂取量、リン・カリウム管理などを考慮した個別の対応が必要とされる。

(中略)

<保存期患者の場合>
「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013」に「アルコールの摂取はCKDの発症・進展に影響を及ぼすか?」とあり、そのステートメントでは「少量から中等量のアルコール摂取(エタノール10〜20g/日程度)はGFRを維持し、蛋白尿を減少させる可能性があり、中等量以上(エタノール20〜30g/日以上)は蛋白尿を発症させる可能性がある」とされている。
しかし、CKD患者の長期のアルコールの影響を検討した介入研究はなく、観察研究によりその影響を検討したため、エビデンスの推奨グレードは付いていない。

CKDの最新食事療法のなぜに答える【実践編】 P116

「CKDの最新食事療法のなぜに答える【実践編】」でも椎貝先生の本と同様に、アルコール20gを基準としており、ある研究によると少量から中等量のアルコール摂取であれば、GFRを維持し、たんぱく尿を減少させる可能性があるという結果になったそうです。

とはいえ、上記の研究でも中等量以上のアルコール摂取は、逆にたんぱく尿を発症させる可能性があることや、長期的な介入研究は行われていないことにも触れられています。

腎保護を目的としてアルコールを飲むことはやめておいた方が良さそうです。

また、合併症がある方や、透析患者では、アルコール以外に、水分制限やカリウム、リンなどの観点で問題になることがあるとのことですので、飲酒をする場合は必ず主治医に相談しましょう。

飲酒は節度を守って楽しく続けましょう

今回は腎臓病患者の飲酒について、参考文献をもとにご紹介しました。

腎臓病の食事療法はとても制限が多く、何かとストレスが溜まります。節度を守った飲酒であれば問題はないそうなので、無理に制限はせず、楽しく食事療法を続けていきたいですね。

今回ご紹介した書籍は腎臓病患者の飲酒以外にも、普段、腎臓病患者が日常生活でよく疑問に思うことなども解説されているので、こういった書籍を1冊持っておくととても役立ちます。

>> 椎貝達夫先生の「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」を読みました

>> CKDの最新食事療法のなぜに答える【実践編】を読みました