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腎臓病患者が腎臓病の食事療法をおいしく続けるコツ、低たんぱく特殊食品や減塩食品のレビューなどを発信しています。

椎貝達夫先生の「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」を読みました

椎貝達夫先生の「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」を読みました

この記事では、椎貝達夫先生の「人工透析を回避!慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」を読んだ感想と、その中でも特に参考になった情報を抜粋してご紹介します。

椎貝達夫とは

茨城県厚生農業協同組合連合会 JAとりで総合医療センター名誉院長、現椎貝クリニック院長。

椎貝達夫先生は血圧調節、食事療法、薬物療法を中心とした「取手方式」という慢性腎臓病保存療法を提唱されています。

今まで効果的な保存療法がなかった「eGFR<15」の高度腎不全に対して「瞑想」を取り入れ、腎臓病の進行を停めるという成果をあげられているそうです。

また、世界初の功績として間質性腎炎の患者に対して、本来は膵炎の治療に用いる薬を、 間質性腎炎と思われる患者に投与したところ、30 例以上でそれまでの進行が停止する効果があったと発表されています。

椎貝先生はこのように今まで有効な治療法がなかった腎不全に対して、積極的に代替療法などにも取り組まれているという印象です。

慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法とは

椎貝先生は1996年に「取手方式で腎不全に克つ」を出版し、2005年に「取手方式」を改良した「ニュー取手方式」について解説した「透析なしの腎臓病治療」を出版しました。

そして2013年に出版された「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」では「ニュー取手方式」をさらに発展させた椎貝先生の「新保存療法」を解説しています。

とはいえ「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」も2013年に出版された本ですので、現在、椎貝クリニックで取り入れられている「瞑想」などの最新の治療方法についての記載はありませんでした

いずれの本も内容的にはほぼ同じですが、一番最近出版された「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」では、最新の情報がいくつか追加されて、絵なども入り、読みやすくなっていますので、購入される方は新しい本をオススメします。

目次

  1. 椎貝クリニックに寄せられた感謝の言葉
  2. 新保存療法で腎不全の進行が止まる
  3. 血圧コントロール - 家庭血圧で自己管理する
  4. 食事療法 - 「少しゆるめ」が継続のコツ
  5. 薬物療法 - なるべく少なく、なるべく低額で
  6. 集学療法 - 検査でチェックし、生活と治療を修正
  7. 体からの警告サインを見逃さない
  8. Dr.椎貝に聞く腎臓病Q&A

この本のポイント

  • 椎貝クリニックで「新保存療法」として実施されている「血圧コントロール」「食事療法」「薬物療法」「集学療法」を4つの柱として解説しています。
  • 食事療法については、椎貝先生が長年腎臓病治療を行ってきた経験から書かれていることが多く、腎臓学会のガイドラインよりもゆるい食塩制限、たんぱく質制限を推奨されています。
  • 集学療法では、21にものぼる腎臓病の悪化因子を腎臓病手帳で管理し、透析を回避するための保存療法について解説しています。
  • 椎貝先生自身も本の中で述べられている通り「新保存療法」と同等の治療を行っている医療機関は全国で7ヶ所ほどしかなく、本の内容をすべて実践するのは難しいですが、セルフケアの方法などはとても参考になります。

参考になった情報を抜粋してご紹介

24時間蓄尿について

「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」の中では、24時間蓄尿の重要性について以下のように記載されています。

<24時間蓄尿で食事療法を確実に実行>
4つの柱のなかで、患者さんの工夫が光るのが「食事療法」です。食事では、たんぱく質の摂取量を控えた「低たんぱく食」を心がけます。
しかし、指標に基づかない低たんぱく食は、体を壊しやすくするだけでなく、腎機能の低下を促進する原因になります。食事の指標となるのが24時間蓄尿の検査データです。24時間蓄尿のデータに基づいて食事療法を進めることで、逆に制限をゆるめることも可能です。
食事の制限だけでは、腎機能の低下を止めるためには十分ではありません。かといって食事療法を疎かにすると、ほかの治療の効果が十分に発揮されないのです。食事療法を確実に実行することは、治療の大前提といえます。

慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法 P50

私は腎臓病の食事療法として毎日食べた食べ物を記録して栄養計算をしています。

しかし、ちゃんと食品成分表で栄養価を調べて栄養計算をしていても、実際の1日の食塩やたんぱく質摂取量と一致しているとは限りません。

食品成分表を使った栄養計算は素人にはとても難しく、計量や栄養計算のやり方が間違っていたり、成分表示が記載されていない食品を使っていると、自分で栄養計算した値と実際の摂取量が異なってしまうことがあります。

そこで、24時間蓄尿をすると以下のようなことがほぼ正確に分かります。

24時間蓄尿 スポット尿
尿たんぱく排泄量
たんぱく質摂取量 -
塩分摂取量 -
リン排泄量 -
クレアチニン排泄量 -
クレアチニンクレアランス(CCr) -
出典:慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法 P55

スポット尿(外来で採取する尿)では、尿たんぱく排泄量しか分からず、食事療法の把握のためには、24時間蓄尿が不可欠だそうです。

実際に私も最初に受診した病院では、24時間蓄尿をやっておらず、食事療法がうまくいっているかの判断ができなかったため、わざわざ24時間蓄尿を実施している病院を探し、転院をしました。

24時間蓄尿をもとにした食事療法の実施には、患者側の負担も増えますが、それ以上に食事療法がうまくいっているという安心感を得られ、私は転院してよかったと思っています。

私が実施している24時間蓄尿については以下の記事で詳しく解説しています。

>> 腎臓病の食事療法に24時間蓄尿が必要なワケ

新保存療法の血圧コントロールについて

新保存療法の4つの柱の1つ、「血圧コントロール」について、以下のように記載されています。

<朝晩1回ずつ測って記録する>
新保存療法では、家庭血圧をもとに治療を進めます。1日全体の血圧の平均値に近い血圧値は、起床1時間以内の朝の血圧と、就寝前の血圧の平均値であることがわかっています。そこで、患者さん自身が自宅で朝・夜の計2回、血圧を測定します
最近は、家庭用にさまざまなタイプの血圧計が普及していますが、家庭血圧測定に使うものは、二の腕にマンシェット(ベルトのようなもの)を巻きつけるタイプか、スタンド型で腕を差し込むタイプのものを使います。手首や指で測るものはおすすめできません。

<腎臓病では125/75mmHg以下が合格>
腎臓病があるときは、収縮期血圧(上の血圧)が125mmHg以下、拡張期血圧(下の血圧)が75mmHg以下を目標にします。これは、CKDの目標値として、日本高血圧学会が定めた基準です。
血圧は、朝は高めに、夜は低めになるのが一般的です。朝と夜、1日2回の平均が、目標値を達成していれば合格です。
継続して記録することで、血圧が意外に変動していることに気づくでしょう。自分の血圧が、どれくらいの範囲を変動しているのかもわかってきます。毎日、安定して目標値をクリアできるようにしましょう。

<ほぼ安定していたら毎日〜週1日測定>
血圧を測定するのは、「1回だけ」です。何回も測っていちばん低い値を記録する人がいますが、それは避けてください。初めは毎日記録して、大きなバラつきがなければ、週1日程度の記録で十分です。毎回は不要ですが、脈拍数も月に4回程度は記録しておきましょう。
朝と寝る前の血圧を測定し、平均値で判定します。測った血圧の値をクリニックの記録用紙に記入し、上下の値を線で結ぶとわかりやすくなるでしょう。
測定回数は記録方法なども簡略化し、生活上の負担をできるだけ少なくしています。長く続けるためには、このような気遣いが必要です。

慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法 P72

私も病院から指示されて、毎日、朝と夜寝る前の1日2回血圧を測っていますが、腎臓病の本でここまで血圧コントロールのやり方を丁寧に解説している本は少ないと思います。

医師が1日2回測った血圧の平均値で判断していることや、血圧を測定するのは「1回だけ」で、何回も測っていちばん低い値を記録するのがNGということは知りませんでした。

私自身も今までは何回か測って一番低い値を記録していましたが、実は、各種血圧の正常値は、朝の1回目の値をもとにして作られているそうです。一度に何度も血圧を測っていると、血圧は低下する傾向にあるため、何回も測った結果を記録しても意味がないということですね。

ちなみに私は最近、オムロンの自動データ転送機能付きの血圧計を購入してから、毎日の血圧管理がとても楽になりました。毎日自分で血圧手帳に記録しているという方は本当に楽になるのでオススメです。

>> 腎臓病患者の私がオススメする血圧計【自動データ転送】

腎臓病のたんぱく質制限について

腎臓病の食事療法に必要なたんぱく質制限ですが、「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」の中では以下のように記載されていました。

<0.6g/kg制限は体を壊さずに守れる人が稀>
日本腎臓学会などでは、CKDの患者さんのたんぱく質摂取量の目安は、1日標準体重1kgあたり0.6〜0.8g(以下g/kgと表記)としています。私の2011年までの数十年に及ぶ食事療法の実績では、CKDの進行が完全に止まった人のたんぱく質摂取量は、0.4〜1.6g/kgと、幅広いものでした。

8年間にわたって、低たんぱく食を実行している患者さんの体重・筋肉量・血液のデータなどを綿密に調査した結果、1日0.6g/kg以上の場合は問題が起こらず、0.4g/kg以下だと栄養障害になりやすいとわかりました。24時間蓄尿を月に1回行って、体の状態をモニタリングしたうえでの調査です。

0.58g/kg以下のたんぱく質摂取量では、体の筋肉量の減少を招く危険が高い」とされているので、0.4g/kgはかなり危険な数値といえます。
あくまで、検査データの結果を見て、CKDの進行や筋肉の減少をチェックすることが、低たんぱく食実行のために必要なのです。
医療機関のなかには、体重に関係なく一律「1日30g以下」などと、昔ながらの指導をしているところもあります。また、独学で低たんぱく食を行う人がいますが、大変危険です。

食事療法は、24時間蓄尿のデータに基づいて、注意深く調整する必要があります。十分な検査やデータ管理をしている医療機関のもとで行ってください。

慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法 P96

日本腎臓学会のガイドラインでは、たんぱく質制限は腎臓病のステージに応じて、1日標準体重1kgあたり0.6〜0.8g/kgとされていますが、椎貝クリニックでは0.58g/kg以下のたんぱく質摂取量では、体の筋肉量の減少を招く危険が高く、0.4g/kg以下だと栄養障害になりやすいという結果になったそうです。

参考までに、私の場合は身長が178cmのため、標準体重は69.7kg、1日標準体重1kgあたり0.4g/kgとなる27.88g/日を下回ると栄養障害になりやすいという計算になります。

「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」では、このように椎貝先生の長年の腎臓病治療の経験をもとにしたエビデンスを所々コラムのように記載されています。

ほとんどの医療機関では、たんぱく質制限をする場合、指示量50gのように一方的に告げられることが多いと思いますので、このようにエビデンスをもとにした具体的な数値を記載しているのはとても参考になりました。

腎臓病保存期の治療が上手くいっていない方に読んでほしい本

この記事では、椎貝先生の「慢性腎臓病の進行をとめる新保存療法」を読んだ感想などを紹介しました。

記事の中では紹介しきれなかったのですが、本の冒頭で「椎貝クリニックに寄せられた感謝の言葉」として、透析を宣告された腎臓病患者が椎貝クリニックを受診し、腎臓病の進行が止まった方という方を何名か紹介されていました。

外来での24時間蓄尿などは実施していない医療機関も多く、椎貝先生の新保存療法をすべて実践するのは難しいと思いますが、現在の腎臓病保存期の治療で上手くいっていないという方はとても参考になると思います。

2013年出版と少し古い本のため、残念ながら私が探した限りでは新品で購入できる通販サイトはありませんでした。購入される方はAmazon.co.jpなどで中古の在庫を探されることをオススメします。