もっとおいしい腎臓病食

腎臓病患者が腎臓病の食事療法をおいしく続けるコツ、低たんぱく特殊食品や減塩食品のレビューなどを発信しています。

出浦照國先生の「腎不全がわかる本 第三版」を読みました

腎不全がわかる本 第三版 出浦照國

この記事では、出浦照國氏の「腎不全がわかる本 第三版 食事療法で透析を遅らせる」を読んだ感想と、その中でも特に参考になった情報を抜粋してご紹介します。

出浦照國(1938-2016)とは

1938年長野県生まれ。1964年信州大学医学部卒業。1965年日本赤十字社医療センターインターン修了。1965年東京医科歯科大学第2内科。1976年同講師。1977年米国ジョンズ・ホプキンス大学留学。1980年昭和大学藤が丘病院内科助教授。1994年同教授。2004年昭和大学藤が丘病院を定年退職し、以後、同大学客員教授およびNPO法人「食事療法サポートセンター」理事として今日に至る。この間、横浜薬科大学教授、作陽大学客員教授、徳島大学非常勤講師、日本病態栄養学会常任理事などを歴任

出浦照國先生は、腎臓病に関わる管理栄養士に聞くと必ず名前があがるような腎臓病の食事療法の第一人者です。

昭和大学藤が丘病院客員教授、食事療法サポートセンター理事などを歴任し、腎臓病の食事療法の世界的権威ともいわれていましたが、残念ながら2016年に亡くなられています。

著者自身は出浦照國先生から直接診察や食事指導を受けたことはないのですが、出浦照國先生の食事療法を受け継いで、現在食事指導を実践されている管理栄養士の先生から食事指導を受けています。

出浦照國先生は「腎不全がわかる本 第三版」の中でも語られていますが、1977年、現在のように低たんぱく米などがなかった当時、でんぷん米の発案などにも関わられていたそうです。 私達が今日、低たんぱく米を食べられているのも出浦照國先生の功績のお陰かも知れません。

腎不全がわかる本とは

「腎不全がわかる本 第三版 食事療法で透析を遅らせる」とは出浦照國氏が執筆された、透析をできる限り遅らせるための基礎知識とノウハウをQ&A形式で紹介している本です。

出浦照國氏が生前に執筆された貴重な食事療法についての解説書です。出浦照國氏が亡くなってしまい、今後再販されない可能性が高いため、CKD(腎不全)の方は早めに入手されることをオススメします。

目次

Part 1 腎不全の基礎知識
第1章 腎不全とはどんな病気?
第2章 どうして慢性腎不全になるのか?
第3章 慢性腎不全の進行を抑えるにはどうすればよいのか?

Part 2 食事療法の実際
第4章 たんぱく質制限はどのようにするのか?
第5章 食塩制限はどのようにするのか?
第6章 食事療法を上手に長続きさせるには?
第7章 知っておきたい情報とアイディア

この本のポイント

  • 出浦照國氏の臨床医としての経験をもとに、食事療法の必要性、具体的なやり方、コツなどを紹介されています
  • CKD(腎不全)と診断されて不安という人医師から食事制限を指示されたが何をしたら良いか分からないという人にオススメです
  • すべてQ&A形式で患者向けに分かりやすく解説されています

参考になった情報を抜粋してご紹介

Q.腎不全の人はいずれ必ず透析か腎移植を受ける必要があると聞ききました。本当ですか?

腎不全の人であれば誰もが気になる問題ですが、出浦照國氏は以下のように回答されています。

それは間違い。ひとくちに腎臓病といってもさまざまな病気があります。そのなかには、急性の病気もあれば慢性の病気もあります。昔から腎臓の病気は治らないといわれていますが、現在はきちんと治療すれば確実に治る病気もたくさんあるのです。完全に治らなくても進行が止められる病気もあります。
ですから、腎臓が悪いからといって、いずれ必ず透析か腎移植を受けなければならないということには結びつきません。ただ、その可能性だけは常に考えておかなければいけませんから、その意味で、慎重にしなければいけない病気が多いことはたしかです。

しかし、先に述べたように、急性の病気はきちんと治療すれば、将来慢性腎不全に可能性はほとんどありません。将来、透析や移植が必要になるような、つまり慢性腎不全になるような病気のほとんどは、慢性疾患(慢性腎臓病)です。
実際、現在の我が国には新たな透析に入る患者さんが毎年3万数千人といらっしゃいますが、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、高血圧による腎硬化症、多発性嚢胞腎などの慢性の病気が原疾患です。では、このような病気があると必ず将来透析や移植が必要になるかというと、これもやはりそうではありません。もともとの病気の状態や合併症の出方、治療の内容によっては、進行をかなりくい止めることができます。現実にこれらの病気にかかった方の大半は、生涯、透析も移植もせずにすんでいます。

腎不全がわかる本 第三版 P44

将来、透析や腎移植が必要になるのはほとんど慢性腎臓病ですが、慢性腎臓病の人でも大半の方は、進行をかなりくい止めたり、生涯、透析も移植もせずにすんでいるそうです。

ただし、腎臓病に限らず、慢性腎臓病などの慢性疾患は医者が治す病気ではなく、主治医を選ぶという行為も含めて、すべて自分で管理できるかどうかが、病気の進行を遅らせ、透析への移行を遅らせ、あるいはくい止める鍵となるそうです。

慢性疾患の場合は、生活習慣や食生活によって進行を遅らせるか、くい止めることが重要となります。あなたの生活をすべて医師が把握しているわけではありませんので、すべて医師に任せて、黙って医師の言いなりになっては駄目だということでしょう。

将来、透析や腎移植になる可能性は考慮する必要がありますが、自分でも腎臓病や食事療法について勉強し、少しでも進行を遅らせるという強い意思を持っていきたいですね。

Q.慢性腎不全の食事療法は厳しく、挫折する人が少なくないそうですが、長続きのコツを教えてください

自分の食事をみつける。食事療法は、自分の好みや週間を二の次にして、病気や症状に合わせて献立や調理法を変えるわけですから、時には食べたくないものも食べなければいけませんし、逆に、食べたいものも食べられないということが起こってきます。食べ物の種類だけではありません。空腹なのに少ししか食べてはいけないこともありますし、逆に、満腹なのにもっと食べなくてはいけないこともあります。
このように、多少の無理を覚悟しなければいけないぶん、挫折しやすく、長続きすることも難しくなってくるわけです。このような、食事療法が本来もっている問題を基本に据えて考えてみますと、食事療法を長続きさせるコツは、大きく三つのポイントにまとめることができます。
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①好きなものを食べる、嫌いなものを食べない
食事療法をしている患者さんやその家族の方は、しばしば「病気なんだから我慢しなさい」とか、「医者がそういうのだから、目をつむって食べましょう」とか、「薬と思って食べなさい」とおっしゃいます。この考え方や表現は基本的に間違いです。嫌いなものは食べる必要はありません。逆に、好きなものだったらある程度食べられるように工夫することが、食事療法を長続きさせるためには不可欠です。
「好きなものは食べる」「嫌いなものは食べない」という基本を崩してはいけません。この基本姿勢は、患者さん本人がしっかり認識することはもちろんですが、食事をつくる立場にある方も、また患者さんといっしょに食事をする機関の多い方も、ともに認識おいていただかなくてはなりません。個性の尊重です。
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腎不全がわかる本 第三版 P216

「腎不全がわかる本」の中では食事療法の長続きのコツとして3つのポイントをあげていますが、今回は一つだけご紹介させていただきました。

低たんぱく食は美味しく無いものが多く、自分の好きなものが食べられないストレスから長続きしない方も多いようです。出浦照國先生は「腎不全がわかる本」の中で「好きなものを食べる、嫌いなものは食べない」という当たり前のことが食事療法では重要だと述べられています。昔から良薬は口に苦しという言葉がありますが、食事療法はおいしく、楽しくなければ続きません。食事療法は一生続けていかなければいけないことで、薬のように苦いのを一時的に我慢して飲めば治るようなものではないからです。

自分が好きなものを諦めるのではなく、食べられるように工夫をして、上手く食事療法と付き合っていきたいですね。

絶版になる前に入手をオススメします

この記事では、出浦照國先生の「腎不全がわかる本 第三版」を読んだ感想などを紹介しました。

低たんぱく食や食事療法について解説した書籍はいくつかありますが、どうやったら食事療法と上手く付き合って、透析を遅らせることが出来るのかを解説されている本は少ないと思います。

出浦照國氏は2016年に亡くなられてしまっているため、腎臓病の食事療法に興味がある方は絶版になる前に入手しておくことをオススメします。