もっとおいしい腎臓病食

腎臓病患者が腎臓病の食事療法をおいしく続けるコツ、低たんぱく特殊食品や減塩食品のレビューなどを発信しています。

佐中孜先生の「慢性腎不全保存期のケア 第三版」を読みました

慢性腎不全保存期のケア 第三版

この記事では、佐中孜先生の「慢性腎不全保存期のケア 第三版 寛解を目指した慢性腎臓病の治療」を読んだ感想と、その中でも特に参考になった情報を抜粋してご紹介します。

佐中孜とは

元東京女子医科大学東医療センター教授。現社会福祉法人仁生社江戸川病院生活習慣病CKDセンター長。医療法人社団靭生会メディカルプラザ市川駅院長。日本大学医学部客員教授。

都内の大きな総合病院の中でも特に腎臓内科に力を入れている「東京女子医科大学」に40年近く在籍し、教授職まで務めたあと満65歳で定年退職し、現在は、メディカルプラザ市川駅の院長をされています。

著者自身は佐中孜先生の診察を直接受けたことはないのですが、著者が食事療法に力を入れている病院を探していたときに、食事療法サポートセンターに相談したところ、紹介していただいた医師のひとりが佐中孜先生でした。

長年腎臓病治療、血液浄化療法などを行ってきた腎臓病の権威ですが、慢性腎臓病患者の「透析回避」を目標に生活習慣病や食事療法の指導をされているそうです。

慢性腎不全保存期のケアとは

「慢性腎不全保存期のケア 第三版 寛解を目指した慢性腎臓病の治療」とは佐中孜氏が執筆された、慢性腎臓病の寛解を目標に、腎臓病の基礎知識から、悪化要因、検査項目や各栄養素の意味、食事療法など、慢性腎不全保存期のケアについて幅広く解説されている本です。

血液検査で分かる、尿素窒素、尿酸、クレアチニン、カリウム、カルシウム、リン、ナトリウム、血糖、アルブミンなどの各項目の意味や腎臓にどういった影響があるのか説明できる人は少ないのではないでしょうか?こういった腎臓病に必要な幅広い知識をカバーしている本は少ないと思います。

目次

  1. 慢性腎臓病の基礎知識
  2. 慢性腎臓病の悪化要因
  3. 慢性腎臓病の治療に必要な検査と外来通院でのチェックポイント
  4. 集学的治療のための薬剤
  5. 集学的治療における食事療法の位置づけ
  6. 食事療法の実際
  7. 慢性腎臓病における日常生活
  8. 末期慢性腎不全の保存療法から透析療法への切り替え
  9. 糖尿病性腎症が原因の慢性腎臓病でとくに注意すること
  10. 患者、栄養士、医師とのQ&A

この本のポイント

  • 腎臓病保存期のケアについて、とても幅広い知識がカバーされています
  • 腎臓病治療でよく使われる薬の効果や、血液検査の各項目が腎臓に与える影響などが分からない方にはオススメです
  • 食事療法については、佐中孜先生が長年腎臓病治療を行ってきた経験から書かれていることが多く、腎臓学会のガイドラインよりも厳しいたんぱく質制限を推奨されています
  • 2005年出版と古い本ですが書かれている内容は現在でもとても参考になります。

参考になった情報を抜粋してご紹介

腎臓病患者の1日の水分摂取量について

「慢性腎不全保存期のケア」の中では、栄養素の特徴として「水分」について以下のように記載されています。

尿の浸透圧を測定すると、脱水時は1,000〜1,400mOsm/L、多量の水分摂取時は50〜100mOsm/Lと、濃縮尿から希釈尿まで幅広く変化しているが、尿は、このような調整機構によって体外からの水分量に適宜、対応すると同時に、代謝産物を排泄して生体内の向上性を保持しようとしている。腎不全では、このような濃縮力が低下しているので、ある程度の老廃物を排出するには1日1,500mL以下だと、腎に対して強力な濃縮機構の発動を強いることになり、腎機能低下を悪化させるおそれがある。

慢性腎不全保存期のケア 第三版 P132

1日1,500mL以下の水分の摂取では、腎臓に対して強力な濃縮機構の発動を強いることになり、腎機能低下を悪化させる恐れがあるそうです。

私も腎臓内科の主治医から水分をよく摂るように言われていましたが、具体的にどれくらい水分を摂った方が良いのかは分からなかったのでとても参考になりました。

暑い季節だと汗としても水分が出てしまうため、更に多めに水分を摂る必要がありそうですね。

低蛋白食の効果と危険性

腎臓病の食事療法として行われているたんぱく質制限ですが、その危険性について以下のように記載されています。

日本腎臓病学会では、進行性の慢性腎臓病(クレアチニンクリアランス70mL/分以下)において、蛋白制限の指針を最低必要量の0.6g/kg/日としている。ただしこの食事療法は、エネルギーや他の栄養素が継続して十分確保できている場合に有効であり、多くの尿毒症症状(疲労感、吐き気、痒み、食欲不振など)を軽減する。また、アシドーシス、骨密度、高血圧、腎不全特有の血中成分の濃度も改善する。低蛋白食では、リン、ナトリウム、カリウムの摂取が必然的に制限されるからである。しかし、常にエネルギー摂取不足による栄養障害の危険性を伴っているため、栄養状態の経過観察が不可欠である。食欲不振が続き、体重減少が著しい場合は、食べたい物や、栄養補助食品などで、栄養補給をするのが安全である。
ここで、注意したいのは、蛋白質制限食事療法が蛋白崩壊や栄養失調を招くものであってはいけないということである。殊に、機能的には腎不全期にある透析療法(腎移植)導入(実施)準備期の患者である。この時期にある患者においては、とりわけ蛋白質を制限していても蛋白合成は維持されていなくてはいけない。低蛋白食による食事療法を成功させるためには、消費エネルギー以上の量のエネルギーを十分量摂取する必要がある。100kcal不足すると、体の筋肉の崩壊が起き、蛋白質を1〜2g余分に摂ったことになる。このような見地に立つと、蛋白質の質も重要で、必須アミノ酸と含硫アミノ酸(メチオニン、システイン)、チロシンをバランスよく含む、正味の利用率が高い蛋白質が一様に含まれている蛋白価の高い食品を食べることが望ましい。

慢性腎不全保存期のケア 第三版 P130

たんぱく質制限の食事療法が有効なのはエネルギーや他の栄養素が継続して十分に確保できている場合にのみ有効だそうです。

私もたんぱく質制限と同時に普段からカロリーアップをするように心がけていますが、100kcal不足すると、蛋白質を1〜2g余分に摂ったことになるそうです。 上記の水分量についての説明も同様ですが、こういった具体的な数値を記載している本は珍しいと思います。もちろん患者によって多少個人差はあると思いますが、患者としては目安でも数値が書いてあった方が安心できますよね。

また、以前に「【低たんぱく食】市販のエネルギーゼリーでおいしくカロリーアップ」の記事の中で市販のエネルギーゼリーを使ったカロリーアップをご紹介しています。カロリーアップの方法を知りたいという方はこちらもご覧ください。

腎臓病保存期の治療、意味を理解して取り組もう!

この記事では、佐中孜先生の「慢性腎不全保存期のケア 第三版」を読んだ感想などを紹介しました。

記事の中では紹介しきれなかったのですが、腎臓病の治療で処方される薬の効果や、慢性腎臓病の治療に必要な検査の説明なども詳しく解説されています。 意味を理解して検査を受けるのと、意味も分からず検査を受けるのでは、腎臓病治療や食事療法に対する効果も違ってきます。

今一度、腎臓病治療や食事療法の意味について確認しておきたい方にはとてもオススメの書籍です。

2005年出版と古い本のため、購入される方はamazonの中古か、楽天ブックスで「慢性腎不全保存期のケア第3版」を検索してみてください。楽天ブックスの方には新品の在庫があるようでした。